ブックレビュー ブックレビュー

原題 Wild Thinking: 25 Unconventional Ideas to Grow Your Brand and Your Business
著者 Richard Buchanan, Nick Liddell
分野 ビジネス/マーケティング
出版社 Kogan Pag
出版日 2019/5/3
ISBN 978-0749484507
本文 多くの企業は、変化の早いマーケットの中で自社ブランドの存在感を高めるためにどう戦略を立てるべきか、常に悩んでいる。競争他社とどう差別化するか。ブランド戦略で大切なことは何か。本書は、確固たるブランドを築くことに成功した組織の実例から、ブランドの重要性、固定観念にとらわれない戦略の立て方を明らかにする。

本書の特徴は豊富な事例である。グーグルやGapといった世界的企業のほか、おもにイギリスの企業を中心に、レーシングチームのマクラーレン、スポーツ団体のサウサンプトン・フットボール・クラブやウィンブルドン、食品のトワイニングス、スーパーマーケットのLidlやOcadoなど、ブランド担当者へのインタビューを交えた成功事例が詳しく紹介される。例えばマクラーレンのケースでは、マクラーレンとフェラーリの長く続くライバル関係を紹介し、その上で戦略を立てる際の「敵」はライバル企業ではなく「既存の枠を出ない平凡な考え方に陥ること」だと結論づけている。

本書はとても読みやすい。1章ごとに1事例を取り上げて戦略策定のポイントを導き出すため、読者はさまざまな企業の生きた物語を楽しみながら、重要なヒントを学ぶことができる。単にノウハウを学ぶための教科書ではなく、読み物としても多くの気づきが得られることが本書の魅力だ。ブランドやマーケティングに携わるビジネスマンはもちろん、企業トップや一般のビジネスマン、学生まで広い読者層に訴える力を持つ本である。