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原題 Robot Love: Can We Learn from Robots About Love?
著者 Ine Gevers
分野 ロボット/倫理学/人工知能
出版社 Lannoo Publishers
出版日 2018/8/21
ISBN 978-9089897763
本文 本書のテーマは、ロボット工学と人工知能(AI)のコンテキストにおいて「人間であること」、そして「愛すること」とは何を意味するのか。そして、すでに私たち自身を定量的な機械として捉える向きがある中、人間が機械と徐々に融合していく過程で、「人を人たらしめている特質」をどうすれば失うことなく維持できるか、である。

ときに過激で、ときに示唆に富んだ写真を惜しみなく配した本書は同名の展示「Robot Love」と同時に企画されたものだ。2018年にオランダで開かれた同展示ではアート、テクノロジー、社会における変化をあつかった60のアーティストたちの作品を紹介した。

そして同時に出版が進められた本書では、アート、神経科学、ロボット工学、そして倫理といった分野の才能が結集し、実地のプラクティスに基づき評論を寄稿している。彼らはサイエンス・フィクションが、サイエンス・ファクトになったことを、私たちに気づかせてくれる。

ロボットが人間を意識して行動できるようになるには、典型的な人間の性質をデータとして取り込むことが必要だ。感情、直観、そしてとりわけ愛といった性質だ。

そして、徐々に人間の見た目をした機械が家庭の領域に入り込もうとしている。AIのふるまいは、現在の社会のあり様、そして私たち自身を映し出す鏡のような役割を果たすかもしれない。

著者は言う。おびただしい量のビッグデータはAIがテクニカルな意味で学習することを可能にするかもしれないが、昨今研究の進んでいる意識や感覚性といったことに関しては、工夫に富んだやり方で解決することが必要になる、と。

本書は主にアートの視点から、現在もっとも差し迫って、注目を浴びている分野にアプローチした。このロボットやAIといった分野の人間の根っこを揺るがす問題を解決するにはフィールドの垣根をこえた取り組みが必要で、そこで門外漢などいないということを教えてくれる一冊だ。