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原題 The Pig: A Natural History
著者 Richard Lutwyche
分野 生物/歴史/食品
出版社 Princeton University Press
出版日 2019/8/13
ISBN 978-0691182018
本文 歴史上のどの時代をみても、世界には常に約10億頭の豚が存在した。それは人間7人に対して1頭の割合である。私たちは豚なしでは暮らせない。豚は、食べ物として良質なたんぱく源となり、多種多様で、賢く、適応性がある。

それなのに豚に対する一般的な見方は冷ややかで、豚の価値が正式に理解されているとはとても言い難い。著者は人間に最も身近な、この豚という動物をもっと理解してもらいたいという思いから豚の研究を始めた。

古くは人間が農業を始めた新石器時代から豚は人間にとって身近な生き物だ。豚はベーコンに加工されるだけではない。豚は様々に活躍する生き物で、近頃は小さく品種改良されたミニブタがペットとしての人気を集めている。そして遺伝子構造の分析の結果、豚は私たち人間と生理機能が非常に似ていることもわかっている。

芸術的な切り口も面白く読める。第4章の「豚と人間」では豚と芸術のつながりにもページを割き、古くに描かれた豚の絵画、豚を引用したことわざ、英首相や米大統領の豚を使った名言なども紹介している。また同章内で今日の大規模養豚のやり方を非人道的だとして厳しく非難している。

脂の滴る厚切りのベーコンを、トーストしたパンに挟んで食べるのが最高だと言う著者の、豚への深い愛情が感じられる。賢くて適応性のある豚の生物学と、その行動や多様性の包括的な研究結果を網羅した一冊。