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原題 Forgotten Fairy Tales of Brave and Brilliant Girls
著者 Susanna Davidson, Rosie Dickins, Andy Prentice, Rob Lloyd Jones
分野 児童書
出版社 Usborne Publishing Ltd
出版日 2019/9/5
ISBN 978- 1474966429
本文 誰もが知っている物語の影に隠れてしまった、忘れられた物語にスポットを当てた一冊。目を引く表紙とイラストが可愛らしく、思わず手に取りたくなる装丁となっている。本書に収録されている物語すべてに共通するのは、勇敢な女性が登場するという点だ。何年も語り継がれ、映像化もされた有名な物語たちとの決定的な違いとも言えるだろう。従来の物語では、お姫様は強く優しい心を持ちながらも、やはりか弱い存在であり、王子様が助けに来てくれるのを待つ「守られるべき女性」として描かれていた。しかし、本書に登場するお姫様たちは違う。みんな自ら考え、行動を起こし、自分の幸せを手にするのだ。ここで言う幸せは、必ずしも王子様と恋に落ちて、めでたしめでたし……というものではない。自分が何を求めているのか、本書に描かれている女性たちはきちんとわかっているのだ。幸せになるのに、王子様の助けは必要ないのだと、現代の少女たちに訴えかけてくる。

あの有名な白雪姫も本書に登場する。ただし、意地悪な継母に城を追われて森へ逃げ込む哀れなお姫様としてではない。優しい母と、仲良しの姉と暮らす、ごく普通の女の子だ。二人の姉妹は勇敢で、優しくて、頭がいい。二人は魔法にかけられたクマと出逢い、魔法を解く手伝いをするために森の中へ入っていく。魔法の解けたクマは王子様に変わり、白雪姫と恋に落ちる。この流れはよくあるおとぎ話と言えそうだ。しかし、姉であるローズレッドは家族と離れて冒険の旅に出る。それが、彼女の求めた幸せだったからだ。

すべての少女たちに、夢を追う強さと楽しさを教えてくれる本だと言える。こどもに読み聞かせるのはもちろん、かつて少女だった大人の女性が読んでも充分に楽しめる。守られているだけのお姫様とは違い、勇敢で強い彼女たちから受ける影響は計り知れない。もちろん、従来の物語同様に恋をしたり、友情を育んだりと、おとぎ話としてのエンターテインメント性も失われてはいない。現代のおとぎ話として、語り継いでもらいたい一冊だ。

作者もこう述べている。「この物語を、友達に聞かせてあげてほしい」と。少女たちに、考える力と選択肢を与えるすばらしい一冊となっている。