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原題 How to Survive and Thrive When Bad Things Happen: 9 Steps to Cultivating an Opportunity Mindset in a Crisis
著者 Jim Taylor
分野 自己啓発/社会心理学/メンタルヘルス
出版社 Rowman & Littlefield Publishers
出版日 2019/6/8
ISBN 978-1538108550
本文 人生に危機はつきものだ。健康の危機、経済的な危機、人間関係やキャリアの危機。著者は、「危機」の定義を「悪いことが突然起き、精神的・または肉体的にストレスを感じること」と定義している。このような出来事は、自分でコントロールできるものではない。しかし、危機に対しての自らの対応や反応は変えることができる。危機に対するとっさの反応は、自らの身を守るために、太古の昔から人類に刻み込まれている。しかし、現代に生きる我々にとっては必要のないものが多いことも事実だ。自身の反応を変えることは難しくはあるが、本書の九つの章で提供される実用的なアドバイスに基づいて行動することで、誰もが危機を乗り越えるだけではなく、ピンチをチャンスに変え、危機を通して成長することができるはずだ。

悪いことが起こった時、図らずもネガティブな感情が溢れ出してしまうことがよくある。しかし、その感情に飲み込まれるのではなく、冷静に対処することも可能なはずだ。本書では、九章にわたり恐怖・不安・その他ネガティブな感情・パニックといった危機に面した際に体験しやすい感情を、どうやって落ち着き・自信・勇気等の、機会を逃さないマインドセットに変えられるかが解説されている。政府機関ならびに大小様々な企業、そして一般の人々が経験した体験例では、これらの組織や人がうまく危機を乗り越えられたのかどうかを検証し、マーク・トウェインやキケローといった多くの偉人が残した名言を交えながら、危機を通じて成長する方法を説く。

著者は53年にわたり、天災(地震、火事、洪水など)および人災(大量殺人、シリアル・レイプなど)によってもたらされる危機のマネジメントを行ってきた。社会のインフラを「通常の状態に戻す」ことはたやすい。しかし、個人に対する事件や事故の影響を最小限に抑える方法はあまり知られていないという思いから、本書を執筆するに至ったという。