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原題 The Work of Forgetting: Or, How Can We Make the Future Possible?
著者 Stéphane Symons
分野 比較文学/哲学/現象学
出版社 Rowman & Littlefield Publishers
出版日 2018/12/14
ISBN 978-1785523236
本文 記憶という概念は50年以上にわたり、多くの学術的・社会的論争において重要な役割を果たしてきた。本書は学術分野における記憶学の限界に注目し、記憶という機能は、現在人が抱えている課題に対して不十分な答えしか導き出さないし、すべての解とはならないと主張する。

本書は、二つの哲学を比較する。ニーチェやベンヤミン、ドゥルーズといった哲学者の著書の根底にある「忘れる」哲学と、フロイトやハイデッガー、アーレントの考え方の基礎となった記憶の哲学である。歴史とはある種の流動性と切り離せるものではない。そして、この流動性とは、記憶によって保存することで打ち消されることはなく、忘れるという現象に対する新たな理解が作り出される。大学で哲学を教えており、記憶学についても知識が豊富な著者は歴史や文学における記憶を様々な角度から検証する。

「忘れる」ことをテーマとし、20世紀を代表する様々な哲学者の著書に基づき、流動性が過去にはついて回ることを説いた本書は、哲学に興味のある読者や、歴史・文学において忘却が果たす役割を知りたい人、そして過去のことを忘れて新しいスタートを切りたいと考えている人にも、有益な考え方を示してくれるだろう。