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原題 Why Old Places Matter: How Historic Places Affect Our Identity and Well-Being
著者 Thompson Mayes
分野 社会/その他自然科学/建築/美術
出版社 Rowman & Littlefield Publishers
出版日 2018/9/1
ISBN 978-1538117682
本文 古い教会や寺院、何百年も前の面影を残している町。ローマ人はトロイの遺跡に感動し、過去に想いを馳せた。ビートルズは「There are places I’ll remember all my life(決して忘れられない場所がある)」と歌っている。古い場所は、なぜ私たちをこんなにも惹きつけるのだろう? 建てられてから長い年月が経過している建造物は、なぜ魅力的に感じられるのだろう? 

著者は何年にもわたり、歴史的遺産の保護に携わる人間として、また人間や社会を理解するために、「場所」について考察を続けている。古い建造物が多く残り人々の生活の一部となっている都市ローマに半年滞在した経験や多種多様な調査、同僚との議論を経て、本書は生まれた。

古い場所に愛着を感じる人は多くいる。古い家が好きな人もいれば、歴史的な都市に惹きつけられる旅行者もいる。古代遺跡を巡る巡業者もいる。しかし、どうしてそれが好きなのか、言葉にして説明できる者は少ないだろう。本書は、人々が古い場所に愛着を感じる理由を、継続性や記憶、アイデンティティ、美、サステナビリティといった局面から解き明かしている。

古い場所が好きだと感じる人すべてにとって、読み応えのある本だ。しかし、それだけではない。人やコミュニティにとって古い場所がなぜ重要なのか、そして古い場所の存在意義と古い場所を保存することの重要性を教えてくれる貴重な情報源でもある。生徒でも、活動家でも、環境保全や構築環境関係の仕事をしている人でも、自分が暮らすコミュニティに興味を持った人でも、なぜ歴史的環境保全が大切なのかを知るには、この本を読むことが一番の近道だろう。