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原題 Wasp
著者 Richard Jones
分野 ノンフィクション/生物学
出版社 Reaktion Books
出版日 2019/10/16
ISBN 978-1789141610
本文 イギリス昆虫学会会長を務めたこともある昆虫学者Richard Jonesが、何かと嫌われることの多いスズメバチについて、これまでの常識を覆すような知られざる生態を明らかにする。

恐怖と魅力の双方がスズメバチを他の昆虫から際立たせている。象徴的な形と独特の色彩を持ったスズメバチはミツバチとはちがって、おかしな神話を語られたり、いわれなき誤解を受け、まるで復讐心を持っているかのように攻撃的だという評判もある。これらは、スズメバチの価値を正しく認識してこなかった人類の歴史に深く根付いている。そこで著者はスズメバチに関する自然史と文化史を紹介しながら、その偏った評価の修正を図る。

著者は最新の科学的知見を用いて、スズメバチの複雑な巣や群体としての行動、興味深いカースト制、食物連鎖のなかでの主要な役割について探求していく。また、この本では豊富なカラー写真や精巧なイラストを使ってスズメバチの魅力を余すところなく正確に描写し、とても印象に残る仕上がりとなっている。