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原題 The First Space War: How the Patterns of History and the Principles of STEM Will Shape Its Form
著者 J. Furman Daniel, III and T.K. Rogers
分野 軍事/国際関係/宇宙科学
出版社 Lexington Books
出版日 2019/10/17
ISBN 978-1498587747
本文 著者は本書に三つの目標を定める:批判的に考えること、疑問をもつこと、そして楽しむこと。世界史、国際政治、STEM(科学、技術、工学、数学)を切り口として、地球にとっての最初の宇宙戦争がどのようなものになるかを詳細に説明する。その戦争は超高度に進化した異星人による地球侵略としてではなく、地球が火星の植民地にしかける戦いとして始まるとされる。

宇宙戦争というとほとんどの人のイメージがハリウッド映画などによって誤解とともにつくられたものだが、本書ではSTEMの先生と政治学教授が協力して宇宙戦争の可能性を探り、あなたが映画などで目にしてきたほとんどが、とんでもいない間違いであることを明らかにする。著者によれば、実際に起こりうる宇宙戦争はいくつものフィクションに描かれた以上に不思議で、興味深いものだとされる。

著者が想定する地球と火星の植民地との戦争は決して考えられないようなことではない。イーロン・マスクやドナルド・トランプのような著名人も火星旅行やその植民地化を唱導している現状を受けて、著者は地球と火星植民地との関係はもし植民地が反乱を決意したらどうなるかという遥か彼方の未来を検証する。著者は、科学と政治の交じり合う、論議を呼ぶこと間違いない未来を詳細に分析してみせる。SFファンも未来の現実を真剣に考えるべき、という課題を提供する話題作。