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原題 혐한의 계보(嫌韓の系譜)
著者 노윤선(ノ・ユンソン)
分野 政治/外交
出版社 글항아리
出版日 2019/12/6
ISBN 978-8967356682
本文 2019年は、日本で嫌韓の嵐が吹き荒れた。GSOMIA破棄が土壇場で回避されたり、両国のトップ会談の可能性が浮上したりと、交渉の雰囲気は整いつつあるものの、深まった溝は容易に回復しそうには見えない。メディアと大衆が作り出した嫌韓の雰囲気は、今やメインストリームになりつつあり、政府が主導しているようにさえ思える。本書では、嫌韓研究で博士号をとった著者が、どのように嫌韓が認識されるようになり、嫌韓論が出現し、政治化されたのかの系譜を書いている。

「嫌韓」という単語が始めて使われたのは、1992年3月4日の毎日新聞の記事だった。その記事は、日本に対する韓国人の恨みを日本人が認識していないということを指摘し、日本人の反省を促す内容だった。しかし、「嫌韓」はだんだんと、韓国人に対する嫌悪、蔑視、諦め、優越感、恐怖感、違和感の現象を意味する用語として使われるようになる。

現在の日本は、国内および国際政治での道具として嫌韓を活用している。著者は、現状を確認しながら、その根底に何があるのかを掘り下げ、嫌韓の考え方とは何なのか、どこから来たのか、日本の文化とどう結合され、どうして日本の国民に注入されたのかを徹底的に分析する。