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出版翻訳の舞台裏Column

原題 Sick Money: how the pharmaceutical industry went bad
著者 Billy Kenber
分野 時事/社会問題
本文 本書では、欧米でも問題となっている医療用薬価上昇のからくりについて、切り込んで行く。医療用薬価は、研究開発費が載せられ一定期間その価格が維持される事により、製薬会社が研究開発費を回収する、というモデルで決められている。しかしこのモデルは既に破綻しており、この破綻が医療用薬価膨張を招いている。本書ではこの破綻を招いたからくりを具体的に解明する。

例えば、欧米ではエイズ関連薬の一日当たり医療用薬価を、ある日突然日本円換算で1500円から8万円以上に上げてしまったり、価格の下落を避けるため、子供用抗がん剤をスペインの倉庫でわざと期限切れにさせたりするといった事態が発生している。

欧米の医療用薬価制度は日本のそれと異なるため、本書の内容が直接そのまま日本に当てはまることはない。しかし、世界の製薬会社で売上と研究開発費双方のトップ10は全て欧米企業によって占められている。そして日本でも大量の欧米製品が使用されている。このため、医療用薬価問題には同根の部分がかなりあると思われる。特に本書が注意を喚起している積み上げ方式の医療用薬価決定モデルが破綻していることは日本でも同様である。

今後も膨れ上がり続ける日本の医療用薬価問題について考える際、欧米での問題点を掘り下げ、そのからくりを暴く本書は、読者に深い考察を与えてくれる。