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出版翻訳の舞台裏Column

原題 One Life: How we forgot to live meaningful lives
著者 Morten Albaek
分野 思想哲学
出版社 LID Publishing
出版日 2019/10/24
ISBN 9781912555598
本文 各国の経済状況、社会保障、健康、政治の腐敗などから作成された国連の『世界幸福度報告』によれば著者の住むデンマークは常に上位3位以内にランクされ(最下位の南スーダンより約3倍幸福と言うことになっている。しかしながら、教育を受け、豊かになったデンマークでも鬱やストレスが大きな社会問題となっている。WHOの調査によれば、世界中で3億人が鬱で苦しんでいるとされている。

社会経済的豊かさと、内面的な豊かさの差を生み出しているものは何なのか。この差はどこから来るのであろうか。本書では哲学者であり、ビジネスマンでもあるモルテン・アルベクがこのパラドックスと不条理さを分析する。世界各国の社会経済的な進歩が、幸せで満たされた生活に簡単に置き換わるものではない事を示す。

生活水準の高い豊かな国々で、なぜ人々は病んで行くのか、それも特に仕事関係のストレスや上司との関係において病んで行く場合が多い。著者によればこれはワーク・ライフ・バランスの問題ではなく、そもそもワークとライフは不可分であり、一つの人生を切り分けることの出来ない時間の中で生きている。例えば一日8時間仕事に当て、残りを余暇に当てるとするとしても、8時間の労働時間も人生の一部であり、切り分けられず、仕事以外の時間に影響を与えてしまう。そしてここには人は何のために生きるかと言う視点が抜け落ちている。著者はここでミーニングフルネス(意義ある人生)という概念を示す。

人間は切り分けることのできない一つの人生を生きている。人生のうちの一部分だけを切り離すことは出来ない。トータルとしての人生(One Life)を生きているということを念頭に置き、ミーニングフルな人生(意義ある人生)を送ることに注力すれば、人々が病んで行く状況を改善出来ると著者は述べる。