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原題 Women and Work ― Feminism, Labour, and Social Reproduction
著者 Susan Ferguson
分野 社会・政治/労働/フェミニズム
出版社 Pluto Press
出版日 2019/10/20
ISBN 978-0745338712
本文 フェミニズム(女性解放思想・運動)はいま再び政治課題となっている。
世界中で、女性たちは、不当な労働条件、妊娠中絶法、性暴力に抗議し、また、適正な賃金、よりよい学校教育、無料保育を要求して街頭デモにくり出している。

女性CEOのために闘うことを選択するフェミニストの存在、CEOのいない社会のために闘うフェミニストの存在。同じフェミニストでも異なる二つの異なるアプローチを理解するために、フェミニストたちが解放のための闘いの中心に労働を置いてきた過程を分析しながら、女性たちを抗議活動に駆り立てる思想を考察する。
ここで、二つのまったく異なった道筋が登場する。「平等派フェミニズム」と「社会的再生産派フェミニズム」である。社会主義者は平等派フェミニズムのリベラルな方向にあまりに偏りがちである一方で、社会的再生産派フェミニズムのすぐれた洞察を軽視する。
フェミニストの反労働批判に関しては、女性の解放はあらゆる急進的な労働を再考することにかかっており、再構築された社会的再生産の枠組みは、包括的フェミニズム政策の強力な原理となる。
影響力の大きい「#MeToo」運動や、これまでにない数の女性が公職選挙に立候補している現実がありながらも、政治課題としての男女平等の闘いは高まりをみせることはなかった。
世界中の女性たちが、不当な労働条件、制限的な妊娠中絶法、すり切れた社会的セーフティーネットの改善に向けて闘っている。

ビジネスの世界でもそれと同じであることは事実だが、そこには「ねじれ」がある。
もっと多くの女性経営者を後押しすることが、男女平等の闘いを助けると主張する女性もいれば、性別に関わらず経営者自体が問題の一部なのだと主張する女性もいるのだ。