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原題 The Sex Recession: How Modern Life is Complicating intimacy
著者 Kate Julian
分野 社会問題/男女問題/パートナーシップ
本文 セックスが希薄化している。各種研究によれば現代の男女は20年前のそれと比較しセックスの回数が減少している。
デート・アプリの普及でこれまでのような、バーでの出会いは減り、アプリ内でカタログ化された相手選びに変わってしまい、男女ともに、自らカタログ内の単なるデータとなっている。

デジタル化によってあふれ出る情報に気を取られ、バーで相手をよく観察する集中力が失われている。デート・アプリで出会った相手には、実際にバーで出会った相手に抱くような気持ちより薄い関心しか抱けず、パートナーとなった後の関係性自体も希薄なものとなっている。

パートナーとの希薄な関係性は、セックス自体も希薄にしてしまう。それが人生の質の低下に繋がっていく。人生の基本的な欲求「食事、睡眠、セックス」を変えることは難しい。中でもセックスは出会いのデジタル化に対して我々が着いていけていない部分なのだ。

本書では、まずこれらの問題の深刻性を問いかけ、その上でその解決-「より良い人生」-を得る方法について述べている。

現代病ともいえるデジタル化による情報過多によってもたらされる関係の希薄化にどう向き合うべきか。本書は、人生の基本部分であるセックスを手がかりとして、急速に変化する社会にどう対応していくべきかを我々に説く一冊である。