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JAPANESE WRITERS'HOUSE

出版翻訳の舞台裏Column

原題 나는 내가 잘 살았으면 좋겠다(私は自分に、つつがなく生きてほしい)
著者 박수현(パク・スヒョン)
ページ数 168ページ
分野 エッセイ
出版社 봄름(ポムルム・韓国)
出版日 2019/12/26
ISBN 979-1190278119
本文 思春期だからだよ、あなたが敏感だからだよ、たいしたことないよ、大丈夫、みんなそうやって生きているんだよ、大変なのはあなただけじゃない……。誰かのそんな言葉を聞くたびに、私の「よくなるために頑張ろうという気持ち」は力を失っていった。そして、アドバイスと称した「非難」や、「自分まで巻き込まれたくない」と思われていたことに苛立ち、不安と孤独にさいなまれ、10年鬱病と闘った。

ある日、自分に質問を投げかけてみた。
「あなた、どう生きたい?」

答えは、「私は自分に、つつがなく生きてほしい」だった。

「どのように」という問いに向き合ったことで、ただただ頑張ることを意味していた人生で「次」が思い描けた。そして「いつ、どこで、誰が、何を、何故、どのようにして」の5W1Hを考え、それに対する答えが増えるたびに、ずっと生きたいと願えるようになったのだ。さらに、どうせ生きるならちゃんと生きたいという欲が出た。その日から、何もしないつまらない瞬間を時間の無駄ではなく、人生の原動力と考えられるようになり、無用な私をありのままで愛せるようになった。

本書は、自分を取り囲んでいた憂鬱の幕を自ら上げ、少しずつ強くなる一人の女性の物語で、孤独を感じ痛みを携えている人々にとって希望となる記録である。著者は「心がよくなる過程」を、「インク瓶に透明な水を入れていくこと」と例えている。黒インクの瓶に透明な水を一滴落としたところで、ほとんど変化はないが、一滴一滴足し続けていけば、インクの色はどんどん薄まっていく。その過程はとてもゆっくりで、つまらなく、時間の無駄にも思えるが、私たちの心は裏切らず、ちゃんと変わっていく。

著者がしたように「どう生きたいか」と問うことこそが、人生のさまざまなチョイスを生み、「ちゃんと生きたい」と思える心を生み出すだろう。