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原題 Superpower Showdown: How the Battle Between Trump and Xi Threatens a New Cold War
著者 Bob Davis, Lingling Wei
ページ数 480
分野 政治/国際経済
出版社 Harper Business
出版日 2020/06/09
ISBN 978-0062953056
本文 米国と中国。良くも悪くも、いま世界を動かしているのはこの二カ国だといっても過言ではない。相手の発言や政策を巡り公然と批判合戦を繰り広げる両国。単なるつばぜり合いで終わるのか、それとも――。読者の懸念を深めるかのように、本書は冒頭である会合の模様を克明にする。それは米財界人の多くが、いずれ二国間で戦争になる、と考えている現実。貿易戦争といった類ではなく、市民の命を賭す本物の戦争に、だ。

本書を著すのは、Bob DavisとLingling Weiの二人。両氏とも米主要紙ウォール・ストリート・ジャーナルのジャーナリストで、Bob Davisは卓越した新聞報道等に贈られるピューリッツァー賞の受賞者。9年に及ぶ取材結果を盛り込んだ内容は、まさに二人の集大成といってよいかもしれない。取材元の多くは匿名ではなく実名で記載され、ジャーナリストとしての責任感と使命感が行間に滲む。

かつてChimerica(チャイメリカ)とまでいわれた蜜月はどこで狂ったのか。中国が台頭する1980年代まで遡り、両国の揺れ動く関係を時代の変遷に合わせて解説する。昔、貴重な労働力として歓迎した中国移民に米国はいま、技術漏洩の源として疑惑の目を向ける。昔、追うべき姿として捉えた米国の指導力に中国はいま、経済発展の枷として眦を決する。いまなお変わり続ける両国の力関係を、現場目線で詳細に追っていく。

首脳から実務者レベルまで、幅広い関係者の実際の発言をもとに話が進むため、政府の真意を見る爽快さと同時に、映画の舞台裏を覗くような面白さも魅力の一つだ。世情を鑑みるとまさにタイムリーな一冊。現実として戦争まで話題にのぼる両者の駆け引きが、リアルタイムさながら読む者の眼前に迫る。