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原題 Bike Life
著者 Tristan Bogaard, Belén Castelló
ページ数 256
分野 旅行/写真集/自然/自転車/アウトドア
出版社 Lannoo Publishers
出版日 2020/09/14
ISBN 978-2390251156
本文 生まれも育ちも違うトリスタンとベレンの共通点は、普通の生活を捨て何か新しいことを始めようという意欲に燃えているという点だ。アムステルダムでたまたま出会った二人は一緒に自転車の旅行に出ることを決断する。ノルウェーへの旅を皮切りに、冒険の旅はヨーロッパにとどまらず北アメリカや央アジアにも及ぶ。本書には、旅先での目を見張るほど美しい景色の写真や彼らの旅の記録ともに、旅行中に学んだアドバイスなどが記される。冒険の息吹を感じるとともに、自転車旅行の計画を立てるコツや推奨ルートなどの情報も満載だ。多くの人にとっての疑問点や、世界を切り開く楽しみにつきものとも言える不安に対しても答えてくれる。新しい場所へ向けて、ペダルを踏み出すきっかけを与えてくれる本だ。

まず読者の目を引くのは各地で撮影された素晴らしい写真の数々だ。白夜のオレンジに輝く夕焼け。フィヨルドの静かな水面と切り立った崖から一筋に落ちる滝の数々。南欧の切り立った崖と打ち寄せる白波。白壁の家並み。大草原に点在するパオと馬の放牧。一本に伸びる道。素朴な表情をした地元の人たち…

それを眺めているだけでも心はうきうきとし始め、すぐにでもサイクルショップに走る気にさせられてしまう。筆者ですら最初の旅で使った自転車を買ったのは出発の直前にコスト重視で、ネットで購入した一台だった、と語る。もちろん本書では自転車旅行に適した自転車についてもしっかりと教えてくれる。さらにも、装備や食事のレシピ、環境に対する配慮、旅の記録方法についても事細かに述べている。

言うまでもなく自転車で何カ月もの時間をかけて何百キロも旅をすることは簡単なことではない。しかしそれは何物にも代えられない貴重な体験であり、若者たちにとっては成長の糧になる。二人のわくわくする旅の記録を読めば、夢を追うものの無限の可能性の広がりを感じられるに違いない。