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原題 THE PANDEMIC INFORMATION GAP: The Brutal Economics of COVID-19
著者 Joshua Gans
ページ数 160
分野 経済学/社会学
出版社 The MIT Press
出版日 2020/11/10
ISBN 978-0262539128
本文 新型コロナウィルス( COVID-19)の猛威が世界を席巻している。昨年11月に発見されて以来、今まさにその嵐の真っただ中にいる地域もあれば、すでに流行が過ぎ去り平穏を取り戻しつつある地域もある。世界中が脅威におののきながら、新たな指針、対策、ライフスタイルの模索を始めているところだ。私たちはこのまだ未解明の疫病に対してどう取り組んでいけばよいのか。その問題を情報という観点から考察しているのが本書である。

コロナ感染症の原因はウィルスであり、それが流行した原因はよい情報が欠けていたためである。疫病流行は根本的には情報の問題である。この本の核心をなしている考え方は刺激的で興味をそそられる。筆者によれば、情報の問題を解決できればウィルスに打ち勝つことができるという。例えば誰が感染しているのかわからない時は、誰もが感染しているというつもりで行動しなければならない。情報の問題をきちんと操ることができれば、つまり誰が感染していて誰と接触があったかがわかれば、ウィルスを抑えることもワクチンを開発する時間を稼ぐこともできる。

感染症の流行によって引き起こされた経済危機は過去の不況とは別物だという筆者は、流行時の経済の諸相とそれぞれのステージで回復を可能にするために必要な情報を詳細かつ分かりやすく提示している。ビジネスは失敗しないように、労働者は仕事を失わないようにすることが大事であり、これを達成するのに役立つ経済政策のアプローチを挙げながら、流行時のコミュニケーション戦略、プライバシーと公衆衛生の情報の問題、潜在的なワクチンの不足をやりくりする方法などについても論じている。この危機を乗り切る方法を考え出すためには発想を豊かにし長い目で見なければならない。疫病流行は予想できないが、備えをすることはできる。そしてこの本にはそのためのロードマップが示されている。この危機に直面している日本でもしっかり取り組んでいかなければならない課題である。