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原題 Dragons' Teeth and Thunderstones
著者 Ken McNamara
ページ数 288
出版社 Reaktion Books
ISBN 978-1789142907
本文 サンダーストーン、牛飼いの王冠、セントカスバ―トのビーズ。ドラゴンの歯。これらはみな、我々の祖先が、それぞれの化石につけた名前だ。本書は、はるか祖先の代から脈々と伝承されてきた化石にまつわる様々な神話や伝承を取り上げたもの。我々の祖先が抱いていた世界観や宇宙観が垣間見えて、大いに好奇心を刺激する一冊である。西部オーストラリアのキンバリーは化石の宝庫だ。20数種類の恐竜の足跡が砂岩の上に何百と残っている。

その中で異彩を放つ足跡は、大型獣脚類ティラノザウルスが残したミツユビの足跡だ。先祖は鳥とわかる。これが科学の解釈である。アボリジニにとって、この足跡は、Marala(マララ)と呼ばれるエミュマン(エミュは大鳥)の足跡だ。彼らにとってマララは、人々が平和に暮らすための行動規範をつくった偉大な文化のヒーローだ。アボリジニの知恵や世界観を知るためには、このマララの神話を理解する必要があるといわれている。まことに雄大な話だ。イギリスの外交官が上海で友人からサイの歯のような石をもらった。ドラゴンの歯だという。中国ではすべてに龍が登場する。皇帝の守護神、農作物に必要な雨、雷に関係する。川、海、雨の支配者だ。龍の思想は中国の世界観そのものだ。

本書には、我々の祖先が思いを込めた石(化石)にまつわる神話、伝説がこのように生き生きと描かれている。人類の世界観の原形に触れることができる大変興味深い一冊である。