ブックレビュー ブックレビュー

原題 1001 Walks
著者 Barry Stone
ページ数 960
分野 旅行/写真集/自然/アウトドア
出版社 Cassell
出版日 2018/10/04
ISBN 978-1788400954
本文 本書は、世界中から厳選した街道、遊歩道、散歩道、山道等様々な1001の「歩く道」を紹介している。初心者向けの1時間で終わる散歩から、トランスカナダトレイルのような23000㎞という数か月を要する過酷な旅になる道もある。

歩くというのは、人間にとってごくごくありふれた動きだ。二足歩行を始めた150万年からずっと歩いてきた。だが、それは食料を探したりするような何かしら主たる目的のための行為で、「歩くだけ」で娯楽になると考えられ始めたのは、18世紀半ば頃からだ。現代では、パソコンやスマートフォンの画面から離れ、ストレス解消になる手軽な運動として考えられている。

5つのカテゴリーに分類し、道ごとに、その魅力、歩くのに最適な季節、必要な携帯品などを紹介する。各コースには紹介文とともに、美しい写真が掲載され眺めるだけでも楽しい書籍である。また「出発点」「ゴール地点」「距離」「難易度」「地形」「推定所要時間」のデータも記載されている。
陸地:町と町とをつなぐ街道や、森林の中の道、草原の道。孤立状態やキャンプする用意の有無によるが、次の町にたどり着くまで1日8~10時間程度必要なコースなどを紹介している。
都市:世界中の大都市の道を歩くのは、現代ならでは楽しみである。鉄道を再利用した高架の道、街路樹沿いの道、静かな川沿いの道などの印象的な選択肢が並ぶ。橋のアーチの頂上まで登り、オペラハウスなどのシドニー市街を一望できるSydney Harbour Bridge Climbなど。
山岳:本書で一番多くの道が紹介されている。標高の高い山が作り上げる険しい道だが、その分雄大な自然の景色を楽しめる。ジグザグに進む山道、鞍部、尾根、山頂を目指す道などは一生の思い出になるかもしれない。Brewster Glacier Skywalk Alberta, Canada 崖の上からのぞくことのできる展望台など。
遺跡:先史時代の岩の壁画、古墳、戦場跡、寺院、修道院、古い町並みなどを見ながら歩ける道の数々。古代ローマ時代の壁の破片、昔の交易を示す道もある。大昔の人間たちの生活の様子や歴史が感じられる道が紹介されている。
海辺と水辺:意外に侮れないルートを紹介する。浜辺をのんびり歩くこともできるが、崖沿いや海に突き出た岬などには、骨の折れるアップダウンの道もある。

日本からは、富士山、熊野古道、四国88カ所巡り、奥の細道、哲学の道などが紹介されている。