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出版翻訳の舞台裏Column

原題 Vinyl
著者 Mike Evans
ページ数 256
分野 音楽
出版社 Quarto
出版日 2015/10/20
ISBN 978-1454917816
本文  近年音楽の聴き方は大きく変化している。世界的なデジタル化の促進に伴って、スマートフォンが普及するなどの影響から、音楽は「買って所有するもの」から「ネット配信を聴くもの」、つまりストリーミングでの視聴がメジャーとなっている。2019年の全米音楽売り上げの約80%をストリーミングサービスが占め、過去最高を記録した。
 しかし、アメリカではこのようなデジタル化の流れに反した流れも起きている。なんと、アナログレコードの売り上げがCDの売り上げと肩を並べてきており、2020年には、1986年以来33年ぶりに、CDの売り上げを上回る可能性が高いとまで予測されている。
 日本も、アメリカほどではないが、特に若い世代においてアナログレコードの人気が急上昇している。若い世代に人気のアーティストのサカナクションや星野源などが、CDとアナログレコードを同時にリリースすることが増加し、デジタル化の進む音楽業界の中で、アナログレコードは一定の存在感を確立し、今後も共存していくだろうと広く認識されてきている。
 本書はそんな昨今のアナログレコード人気が再燃し始めた2015年に書かれた、アナログレコードのビジュアル本である。アナログレコードの登場以来、時代を代表する名盤の数々のカラフルなジャケット写真をほぼ全ページにちりばめた本書は、アナログレコードが発明された19世紀後半から現代までのアナログレコードの歴史および、広く世界の音楽シーンの歴史を、アナログレコードという切り口から読み解いている。
 筆者は自身も元ミュージシャンであり、ロックに強いバックグラウンドを持った人物だが、本書では幅広いジャンルを網羅しており、ロックのほか、クラシック、ジャズ、ポップス、フォークなどのレコードも数多く登場する。
 本書はアナログレコードだけでなく、レコードプレーヤーやジュークボックスの特集、レコードメーカーの歴史と変遷、そして各アナログレコードのジャケット写真の誕生秘話やデザインについての解説も盛り込んだ贅沢な一冊だ。世界中のレコード取扱店やメーカーの紹介もされており、日本では渋谷のタワーレコードが挙げられている。昔のアナログレコード愛好家、そして新しいレコードブームでこれからレコード収集を始めたい若い音楽ファンのどちらにとっても、隅から隅まで読み応えのある内容となっている。加えて筆者はこれまで、音楽シーンでのデザインやアートに造詣が深く、デザイン関連の著作を多く出しており、デザインやアートに興味ある読者の欲求にも応える、さまざまな楽しみ方ができる一冊である。