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原題 One Month in Tohoku
著者 Caroline Pover
ページ数 410
分野 エッセイ、ノンフィクション
出版社 Alexandra Press
出版日 2020/08/23
ISBN 978-1838072704
本文 2011年3月11日。大地が張り裂けんばかりの巨大なうねりが一瞬で広がり、東北を中心とする東日本が未曽有の震災に襲われた。
「被災地のために何かしなくては」、「自分にできる支援は何だろうか」。
被害の全貌が明らかになる前から、こうした思いにかられ行動を起こした人々は多かった。しかし、もちろんそれは日本人ばかりではない。

本書は日本を愛する一人のイギリス人女性キャロラインが、その惨状に気持ちを抑えられず、様々な人々から支援を募り、最も壊滅的な被害を受けた地域のひとつである宮城県石巻市牡鹿半島の人々とともに、復興に向けて奮闘する物語である。

彼女について特筆すべきはその迅速な行動力と被災者と真摯に向き合う誠実さだ。災害発生時はサイパンに滞在中だったが、すぐに母国イギリスへと向かい、学校や地域団体をまわりながら緊急支援物資や寄付を募り、東京に戻るとすぐさま牡鹿に向けて車を走らせた。そして彼女の誠実な人柄は、困難の渦中にある牡鹿の人々の心の中に溶け込んでいく。本書には漁師や子供たちなど、地元の人々との長らく続いた交流の記録が描かれている。

本書は牡鹿半島の美しい自然の描写や、伊達政宗をはじめとする侍の地としての歴史についての説明が数多く登場する。キャロラインは牡鹿の自然と歴史、人々に魅了され、その支援の気持ちを強くしていくのだ。