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原題 Yoghurt
著者 June Hersh
ページ数 160
分野 料理、健康、ライフスタイル、歴史
出版社 Reaktion Books
ISBN 978-1789144123
本文 ヨーグルトは各種ビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養素を豊富にバランスよく含む完全食品だ。その起源は古く、今から1万~6500年前のアナトリア(現在のトルコ)にあるとされる。その地でヨーグルトが作られるようになったのは、羊の腸の袋に入れたミルクが放置され、腸内細菌による発酵で生まれた偶然の産物と考えられる。それから数千年のときを経て、ヨーグルトは様々な進化を遂げ、私たちの食卓に欠かせない存在となっている。

近年はいわゆる『腸活ブーム』などの健康志向の高まりで、ヨーグルト人気もますます高まっているが、ヨーグルトは単なる健康食品ではない。本書ではヨーグルトの歴史的な考察に始まり、宗教との結びつきからメーカー各社が展開するビジネス戦略まで、ヨーグルトに関する様々な側面を紹介している。

ヨーグルトの風味や触感は、使用されたミルクや発酵菌、現地の気候によって大きく異なる。ブルガリアヨーグルトやカスピ海ヨーグルト、ギリシャヨーグルトなどは日本でも有名だが、それ以外にも、私たち日本人が知らない様々な種類の珍しいヨーグルト料理が世界中で楽しまれているのだ。本書にはそんなヨーグルト料理のカラフルな写真が随所に挿入され、巻末には著者おすすめの自家製ヨーグルトの作り方まで掲載されている。学術的な分析からはいったん頭を離し、美味しそうなヨーグルト料理の写真を楽しんだり、実際にヨーグルトを作ったりするのも、本書の醍醐味の一つと言えるだろう。