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原題 Ghost
著者 Iona Holloway
ページ数 232
分野 エッセイ・詩・自己啓発
出版社 Lioncrest Publishing
出版日 2021/01/12
ISBN 978-1544517193
本文 外見も、経歴も、なにもかも完璧な女性だったはずなのに、心の中では、自分がじつは取るに足らない存在だと周りにいつかばれてしまうのではないかと、おびえていた。完璧な体型を保とうとするあまり、摂食障害にも陥ってしまった。生理も止まってしまった。ところがある朝、ダイエットはもうしないと心に決めた。本書は、そんな著者が自分を取り戻すまでの体験記である。

詩と散文を交え、幼少期からの自身の人生を振り返り、なぜ「完璧」に固執するようになったのかを語っているが、そこで語られる経験は多くの女性の共感を呼ぶ。やせたいという願望、感情を抑えなければというプレッシャー、ほかの女性との比較や嫉妬は、誰もが一度は抱えたことのある問題だろう。

女性の病気ともいえる摂食障害は、やはり日本の女性にとっても他人事ではない。著者は、ダイエットやプレッシャーなどの心理的問題のために「無理に体を縮めようとして、あなたの心まで縮めてしまわないで」と訴える。

ホッケー選手としての過剰な努力や、過食への罪悪感からの運動過多、認知症の祖母との対話など、そこに描かれた体験談は生々しく、衝撃的である。しかし、度々織り交ぜられる散文詩や、自分を見失ってしまった「ゴースト・ウーマン」たちへの語りかけが、読者を優しく癒す。現代の悩みを抱えた女性たちに、静かに、しかし力強く寄り添う一冊。