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原題 Twenty-First Century Workplace Challenges
著者 Edna Rabenu
ページ数 411
分野 ビジネス、経営、組織論
出版社 Lexington Books
出版日 2021/04/15
本文  本書は21世紀の会社組織を、組織内の心理的関係性の観点から読み解くことを試みたものである。サイバー時代の到来、大量の人口流入、グローバリゼーション、そして直近ではコロナ大流行などの数々の大変化を受け、変容する職場の実在を記し理解するところから本書は始まる。その変化は仕事のこなし方、職場の組織形態、労働者の性質、そして職場における心理的な関係性にまで及ぶ。本書の第2段階は、これらの変化に伴って顕在化しつつある、会社組織内での多くの課題を理解することだ。これらの社会の変化から生まれた職場の変化は、今後会社組織内の心理的関係性に大きな影響を――特に先進国において――与えていくことを筆者は指摘する。そして本書の主題は、職場の心理的関係性の変化を、会社員、労働者、管理職、組織という異なる階層に個別にあたって見ていくことだ。
 この分野における理論研究の第一人者であり、幅広い見識を持った筆者によって書かれた本書だが、重厚な内容とは裏腹に、平易な言葉で、読みやすく構築されている。また、現代社会における組織がどのように新しい変化に対応していくべきか、具体的な新しい方策を多く提案しているのも特色だ。本書は経営層、人事担当、産業/機関心理学者、そして真に優れたリーダーシップを求めるすべての人にとって必読の一冊だ。