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原題 Curved
著者 Agata Toromanoff
ページ数 224
分野 芸術/ 建築/ 旅行
出版社 Lannoo Publishers
出版日 2021/06/09
ISBN 978-9401476027
本文  オーストラリア・シドニーのダウンタウン中心部に、スーパーやレストラン、図書館などの入った一風変わった複合商業施設がある。木目の美しいアコヤ材が、細くなめらかな曲線を描きながら、建物全体に巻きついている。
カイコの繭を思わせるその姿は、高層ビルが林立する中で、ひときわ異彩を放っている。国立競技場の設計も担当した日本を代表する建築家、隈研吾が手がけた作品『The Exchange』だ。建築物には芸術性はもちろん、その建物の利用者が心地よく感じる機能性も求められる。隈研吾は曲線美を前面に押し出したユニークなデザインと利用者の快適性をみごとに両立してみせたのだ。

 建築技術の発展とともに木材などの素材を、それまでは不可能だったレベルで曲げたり、加工したりすることが可能になった。その結果、直線的で単純なデザインだった建造物は、複雑な曲線美をまとえるようになった。本書では建築物の曲線美をテーマに、ヨーロッパやアメリカ、中南米、アジア、中東など世界各国のさまざまな建築物を豊富な写真とともに紹介していく。

本書に掲載された建築物はどれも、流れるような曲線が美しく、どうやって建てたのかと不思議に思えるほど、極めて独創的なデザインを持つものばかりだ。本書の写真を眺めるだけで、実際の建物をその目で間近に見てみたいと感じるだろう。
建築デザインに興味のある読者のみならず、旅好きの読者にもすすめられる一冊だ。