ブックレビュー ブックレビュー

原題 My Body
著者 Emily Ratajkowski
ページ数 256
分野 フェミニズム、社会問題、セレブリティ
出版社 Metropolitan Books
出版日 2021/11/09
ISBN 978-1250817860
本文 有名モデルとして活躍するエミリー・ラタコウスキーは、職業柄、女性であることを常に意識し、自分の肉体について思いめぐらすことが多かった。12のエッセイを収めた本書では、エミリーがこれまでの人生で深く考えてきたフェニミズム、セクシャリティ、権力などのテーマが、彼女の人生の一コマ一コマとともに語られる。

美をなによりも重視した母にまつわる幼年期の思い出(第1章)、セクハラを受けながらも、それを黙って見過ごすことによって成功を手にすることになったミュージックビデオ「ブラード・ラインズ」収録時のエピソード(第2章)、ストーカーまがいのボーイフレンドに悩まされた過去(第3章)、自分の肉体を商品として提供することでお金をもらい、資本主義の恩恵を受けることへの複雑な思い(第5章)、自分の画像を許可なく販売された経験に関する省察(第9章)、モデル業界で女性を差別的に扱う写真家に向けた辛辣な告発書簡(第11章)、出産時に感じた女性の肉体の解放感(第12章)などを題材に、エミリーの赤裸々な思いがつづられていく。

エッセイ集全体を通して語られるのは、いまだ男性が支配的な役割を果たしている現代の資本主義社会で女性として生きることの意味である。基本的にはフェミニズムの立場から男性優位の社会を批判する視点で書かれているが、エミリーは決して簡単な解決法があると考えているわけではなく、問題を意識すること自体に意味を見出しているようだ。矛盾を多く抱える現代社会で苦しむ女性はもちろん、無意識のうちに差別的な考えを持ってしまっているかもしれない男性にも勧められる一冊だ。