ブックレビュー ブックレビュー

原題 Doctors and Distillers
著者 Camper English
ページ数 368
分野 お酒、歴史
出版社 Penguin Books
出版日 2022/07/19
ISBN 978-0143134923
本文 世界的に活躍するスピリッツ・カクテルライター、キャンパー・イングリッシュがウィットに富んだ語り口で読者に届ける、お酒と薬の切っても切れない歴史。本書を読めば、古代から現代にいたるまで、酒なしでは医学の進歩はありえなかったとさえいえる。

怪我にはビール、虫下しにはワイン、蛇に噛まれたときにはウィスキー。マラリアや壊血病、伝染病予防の薬用酒など、古来より身近な薬として使われてきたアルコール。やがて錬金術師が万能薬として蒸留酒を作り、修道院が神秘的な飲み物としてリキュールを開発し、旅医者が怪しげな薬用酒を調合する。

科学者たちはアルコールの発酵を研究し、伝染病の細菌説を唱え、やがて麻酔薬を発明した。同時に、体調不良時の美味しい薬としてオールドファッション、ギムレット、ジントニックなどが誕生する。

アルコールと薬が共に歩む進歩の歴史を、ときに面白おかしく、歴史と事実に裏付けられた情報と、それにちなんだカクテルレシピを交えて紹介する。救急箱とリカーボックスの中身がこれほどリンクしていたことに驚くだけでなく、納得できる一冊。つい誰かに話したくなるお酒のネタが盛りだくさんだ。エピソードに合わせて紹介されているレシピのカクテルを楽しみながら、アルコールと人類の歩みをたどる贅沢な時間を過ごしたくなる。