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原題 The Mental Reset
著者 Elke Geraerts
ページ数 224
分野 ビジネス自己啓発
出版社 Lannoo
出版日 2022/03/30
ISBN 978-9401483360
本文  新型コロナウイルスによって世界は一変した。新たな環境に戸惑う人が多いようだが、この危機は逆に、これまでのやり方の非効率的な部分を捨てて大変身を遂げるきっかけにもなりうる。コロナ禍は、私たちのレジリエンスにこれまでにない試練を与えているが、それはまた、強靭な自己を手に入れ、気まぐれな将来に対応するチャンスでもあるのだ。

 著者のエルケ・ゲラーツは、コロナ禍での自らの体験談も織り交ぜながら、脳を意識して生きることの大切さを説く。脳の仕組みやはたらきをしっかり理解したうえで、脳に優しい生活や働き方をすることが何よりも重要というのだ。その点でゲラーツが特に重視しているのが、新型コロナウイルスによって広まったハイブリッドワークである。在宅勤務と出社勤務を組み合わせたハイブリッドワークこそ、脳に優しい働き方であり、生産性を増大し、ストレスを軽減し、危機の時代に夢を追い求めることを可能にしてくれるものなのだ。一例を挙げれば、これまで当たり前のように行われていた、会社に8時間ずっと居続ける働き方は、脳に優しいものではない。30分から45分集中して働き、一息入れるというのが脳にとって最適なのだ。今後再び、月曜から金曜の9時から17時まで定期的に働くというやり方に戻る選択肢は考えられないだろう。

 本書は、コロナ後の世界で、ハイブリッドワークを中心とした生活・働き方の変化にどのように対応していくべきかを教えてくれる処方箋だ。混迷を深めるコロナ後の世界で充実した人生を送りたいと思っている人々にとってよき道しるべとなるだろう。