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原題 Alak In The Hinterland
著者 Salhan K Ahmad
ページ数 94
分野 フィクション、児童文学、自然保護
出版社 Arcane Literature And Kinderstories Hub
出版日 2023
ISBN 978-6299676119
本文 舞台は魔法の森。森林伐採、動物の殺戮や捕獲とその売買を背景にストーリーが展開していく。この物語の中では、伐採業者や密猟者と動物たちが対立している。そして、その間にいる孤児院で暮らすアラック少年は、人間だ。彼は森で行方不明になった父のことを時々考える。

ある日、アラックは小学校からの帰る途中に、裸足で腰巻きしか身につけていない不思議な男と出会う。男は、ぴかぴかの服を着たゴールドさんと何かを話している。突然二人は喧嘩になり、男は森へと逃げる。それを追うアラック。その途中、アラックはとんでもないものを見てしまう。なんとその男には尻尾があったのだ。
男を追って斜面を駆け下りているうちに、アラックは足を滑らせ、転げ落ち、気を失ってしまう。そんなアラックを助けたのは、まだ幼く小さい虎の3きょうだいだった。
アラックとこの3きょうだいは仲良くなり、友情を育みながら、きょうだいの両親を探しに一緒に冒険へと旅立つ。

仲間や友情は、本書の重要なテーマだ。虎の3きょうだいの両親グルー(魔法で人間に化けることができる)とレダングを助けるために、動物たちは種を超えて皆で一致団結する。以前はグルーとレダングのライバルだった黒豹ペティールも協力する。森の動物たちは、人間を殺さない方針で一致していた。しかし、妻も子も殺されてしまっていたぺティールは、それに背き、レダングを救出した直後に、人間を殺してしまう。

ストーリーには謎が沢山散りばめられており、読者が飽きさせないよう工夫がされている。読者は、謎の答えを追いながら読者は読み進めていく。
あの不思議な男は誰なのか? どこに逃げたのか? どうやって魔法を身につけたのか? また、虎の子たちの母レダングは一体どこに行ったのか? なぜ戻ってこないのか? なぜ森から木が全て無くなってしまったのか? なぜ森から生き物の鳴き声が聞こえなくなったのか? 
読み進めるにつれてこれらの謎が解かれていく。

また、この物語の中では解決しない謎も沢山含まれている。
魔法の森とは何なのか? グルーに魔法を教えた人間はどんな人なのか? アラックはその人に会えるのか? アラックの父親は生きているのか? ペティールが人間を殺してしまったことで、人間の復讐が始まるのか? 
これらの謎は、アラックシリーズの次の本に引き継がれる。