ブックレビュー
| 原題 | Connectability |
|---|---|
| 著者 | Fredric Steck |
| ページ数 | 168 |
| 分野 | ビジネス自己啓発 |
| 出版社 | Fast Company Press |
| 出版日 | 2025/10/28 |
| ISBN | 978-1639081578 |
| 本文 | 金融業界で40年にわたり、トレーディング・営業分野のキャリアを築いてきた著者は、さまざまな人々と出会う中で、仕事の成功に重要なのは「人間関係を築く力」だと確信し、その力を培ってきた。本書では、営業職だけでなく、あらゆる職種に必要なこの関係構築力を身に着けるための「10の要素」（「共感」、「傾聴」、「情熱」、「リスクをいとわないこと」、「創造性と知識」、「しっかり向き合い、応じること」、「リーダーシップ」、「寛大さ」、「フォローアップ」、「弱さを見せること」）を具体的に提示している。 著者自身も、すんなりと人間関係を築く力を体得できたわけではなかった。金融業界で最初に就職した投資銀行A.G. Beckerで出会った上司から顧客に対する姿勢や人間性重視の原則を学ぶ中で、失敗を重ね、営業における関係性の効果と重要性を理解するようになった。そして、転職先のゴールドマン・サックスやその後の人生でその力を発揮することになる。人間関係を築く力は、人間誰もが持っている資質であるが、意識しなければ、伸ばすことは難しい。 現代はテクノロジーの進化が目覚ましく、利用可能なツールも急速に様変わりしていて、デジタルツールの存在感はかつてなく高まっている。しかし、デジタルツールが増えても、人と人の絆を築くのには、思いやりや誠実な関心が必要である。つまり、テクノロジーを補完するのは、共感や傾聴など人間の本質的な力だ、と著者は説く。 本書は、読者がすでに持っている「要素」を、どのように意識してはぐくむことができるかを示す「意識付けのための本」である。「10の要素」は、著者の仕事上の体験や関わった人々との経験を例に述べられている。金融業界の仕事にまつわるエピソードに限らず、行きつけのレストランや馬との関わりなど多様なトピックも読者をひきつけるだろう。 |
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