ブックレビュー
| 原題 | The Paris Paradox |
|---|---|
| 著者 | Shemin Nurmohamed |
| ページ数 | 192 |
| 分野 | ビジネス自己啓発 |
| 出版社 | Forbes Books |
| 出版日 | 2025/09/23 |
| ISBN | 979-8887506265 |
| 本文 | 燃え尽き症候群が蔓延するアメリカで働く人々に向け、著者はフランス式の働き方・余暇の過ごし方を提唱する。簡単に言えば、仕事への取り組み方にゆとりを持ち、私生活を充実させるべきだという提案だ。一見、幸福の秘訣は仕事にではなく余暇にあるという月並みな推奨に思えるが、本書は、ビジネスの視点で見れば非生産的な行いがむしろ仕事での成功に繋がることを示している。 かつては著者も、昼食時間を極力短くするなど、典型的なアメリカ人の働き方をしていたが、フランスでの生活を経験し、カルチャーショックを受ける。そして著者の昼食時間は10分から1時間半になり、それに伴って、濃厚な人間関係を築いていった。休暇をたっぷりと取り、自分の興味の赴くままに知識を蓄えた。本書では、こうした変化で得た新たな気づきが実体験を交えながら語られ、各章の最後には、実生活に取り入れたいフランス式のライフスタイルが箇条書きされている。そのどれもが、意識すればどこにいても簡単に実践できることだ。 本書は、キャリアの向き合い方やワークライフバランスがテーマのビジネス書の体裁ではあるものの、主に著者自身のエピソードで構成され、自己啓発やライフスタイル提案の要素が強い。軽やかな筆致で、エッセイのような読み心地があり、フランスの文化やライフスタイルに興味のある読者にも手に取ってもらえるだろう。 |