ブックレビュー
| 原題 | The Insider's Guide to Innovation at Microsoft |
|---|---|
| 著者 | Dean Carignan (Author), JoAnn Garbin (Author), Eric Horvitz (Foreword) |
| ページ数 | 256 |
| 分野 | ビジネス自己啓発、インターネットビジネス |
| 出版社 | Post Hill Press |
| 出版日 | 2025/02/18 |
| ISBN | 979-8888452844 |
| 本文 | 世界的な影響力と知名度をもち、革新的な商品やサービスを生み出し続けている企業の代表ともいえるマイクロソフト。創立50周年を迎えた同社が、これまでに数々のイノベーション(革新)をどのように起こし、成功させてきたのか、その秘訣を豊富な実例をもとに明快に分析し、紹介する。 著者2人が、実際にマイクロソフト社内でイノベーションに携わる立場から、多くの関係者に詳細な聞き取りを行い、ファクトチェックをした上で具体的かつ客観的な分析をしている点も、本書の特徴だ。社内の人間だからこそ知ることができる貴重なエピソードが満載の本書は、イノベーションについて外部の視点から書かれた他の多くの本とは一線を画するものとなっている。 前半には、Xbox、Microsoft Office、Bingなど、多くの読者になじみのあるマイクロソフトの商品やサービスが登場する。実例ごとに、誕生や改良までの秘話、度重なる試行錯誤、競合相手との関係、成功後も現状にとどまらない努力の継続といった、イノベーションの過程の舞台裏が、読みやすいストーリー仕立てで明かされる。 後半は、前半の実例を含むイノベーションに共通するポイントを、読者にも実践しやすいよう、4つのパターンに整理して紹介する。どれも決してテクノロジー業界の技術革新に限った話ではない。むしろ、分析から判明したイノベーションに必要な要素のほとんどは、「人」に関わるものだった。失敗も含めてイノベーションを歓迎し、報い、標準化する仕組みを作ること。社内外を問わず信頼関係やビジョンの共有を常に大切にすること。イノベーションの段階に合わせた対応を行い、持続性を実現すること。技術だけでなく、人を中心としたビジネス全体の改革を行うこと。紹介するポイントは、どれも業界を問わず当てはまる実践的なものばかりだ。 AIの急速な発展に伴い社会の大きな変化への対応が不可欠な今、本書はイノベーションに関心のある起業家や組織のリーダーにとって貴重なガイドブックとなるだけでなく、一般の社会人やこれから社会に出る学生にとっても大変興味深く読める一冊といえる。 |