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原題 The Warrior's Garden
著者 Richard Ryan (Author)
ページ数 306
分野 インターネットビジネス、メンタルヘルス、教育、自己啓発
出版社 Lioncrest Publishing
出版日 2025/05/06
ISBN 978-1544548067
本文 スマートフォンが生活に欠かせなくなった現代、私たちは知らず知らずのうちに時間と注意力を奪われている。本書は、テクノロジー、特に巨大テック企業が人間の心理と最新技術を組み合わせて作り上げた「時間と注意力の搾取システム」から距離を取り、自分の選択を取り戻すことための実践ガイドブックである。

著者は、テック業界で15年以上活躍し、アルゴリズム理解とデジタルマーケティングを駆使して、YouTubeで数十億回の再生を生み出した人物だ。テクノロジー企業の内部構造やプラットフォームの仕組みに精通した立場から、デジタル消費に振り回されないための実践的な方法を提示する。

かつては著者自身も、再生回数のチェックに追われ、人間関係を後回しにしていたという。プラットフォーム企業がいかにして私たちの脳内でドーパミンが分泌される仕組みを利用し、ギャンブル産業と同様の心理的メカニズムで「もっと見たい」という欲求を作り出しているかという実態である。その結果、2011年以降、若者世代の不安障害やうつ病が急増したり、親友がいる男性の数が半減したりするなど、社会的孤立が深刻化している。

本書は、こうした問題提議だけにとどまらず、具体的な解決策として、7つのツールを提案している。スクリーンタイムによる現実把握、価値観の再定義、30日間のドーパミン・リセット、意図的な摩擦の導入、パートナーとの相互チェック、現実世界でのコミュニティ構築、感謝の実践。いずれも科学的根拠と自身の体験に基づいている。実際、著者はこれらの方法で、わずか2週間で使用時間を40%削減し、失われていた人間関係と創造性を取り戻したという。

巻末の30日間チャレンジ・ジャーナルは、読者が実際に行動を起こすための強力なツールとなる。毎日の記録を通じて無意識のデジタル消費パターンを可視化し、段階的に「心の庭」を整えていく。本書はテクノロジーを否定するための本ではない。むしろ、その恩恵を享受しながら、自分の時間と注意力の主導権を取り戻すための、現代人必読の処方箋である。