ブックレビュー
| 原題 | Deep Future |
|---|---|
| 著者 | Pablos Holman (Author) |
| ページ数 | 248 |
| 分野 | コンピューター・情報工学/技術工学 |
| 出版社 | Forbes Books |
| 出版日 | 2025/07/22 |
| ISBN | 979-8887507248 |
| 本文 | 本書は最先端テクノロジーに精通する著者による「技術書風エッセイ」で、著者が取り組む多様な発明分野について広く紹介している。 研究者ではなく、「発明家」の視点から語られる各分野の最先端テクノロジーの概要や、それをもとにした実用品の開発過程や苦労話などが特徴だ。 大学や研究機関で研究されている最先端テクノロジーも、「実用化」されなければ単なる机上の空論になってしまう。本書では、発明家である著者が実用化にむけて奮闘する姿が興味深く描かれ、各テクノロジー分野の理解にも役立つ。 また、取り上げた各テクノロジー分野の問題点や今後の展開などが、詳細な物理式や専門用語を使わずにわかりやすく概略で解説されている。そのため、本書は、純粋な技術書ではなく、幅広い領域を横断するエンジニアのエッセイと捉えるとよい。 取り上げている分野は、スペースシップの開発や安全な原子力発電の構想などの大規模なものから、マラリア媒介蚊をピンポイントで駆除するレーザー装置や、ワクチンを簡便に輸送できるクーラーボックスの開発などのユニークなものまで幅広い。本書では、その開発に関する裏話なども盛り込まれている。政府や大企業の開発機関ではなく、自由な発想や立場の科学研究チーム(著者いわく“オタク”)が発明に挑む姿に、著者が誇りと自身を持っていることが行間からも読み取れる。 著者は、1980年代にAppleコンピューターを手に入れ、プログラミングにのめり込み、やがて、ハッカーとして活動するようになった。そこから、「世の中をよくしたい」と発明家としての道を歩み始める。 本書の後半では、著者がエチオピアの孤児院から養女を迎えるエピソードなども記載しており、開発途上国の人びとのQOLをテクノロジーで向上させたいとの熱い想いが随所に感じられる。 「テクノロジーを革新するのには共謀者が必要だ。もし、共謀者になれる読者がいたら、知らせてほしい」と、著者は「あとがき」で読者に呼びかける。テクノロジーを通じて、より良い未来を皆で築きたいという著者の想いが詰まった一冊だ。 |