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原題 First Helpings
著者 Deborah Albon (Author), Amy Palmer (Author)
ページ数 320
分野 社会、教育、歴史
出版社 Reaktion Books
出版日 2-26/05/04
ISBN 978-1836391814
本文 子どもは何を食べるべきか。どのように食べるべきか。食について何を学ぶべきか。こうした問いに対する答えは、時代ごとに大きく変化してきた。そして、その答えは社会や文化、政治とも深く結びついている。

本書は、子どもと食の関係を多角的に探る。生活の記録、料理本、礼儀作法の手引き、児童文学など、豊富な資料をもとに、著者たちが子どもをめぐる食の歴史を丁寧にたどっていく。ともに幼児教育学研究者である著者たちは、子どもの視点から食をめぐる社会的・文化的な変化を明らかにする。

母乳か粉ミルクかという授乳のあり方に始まり、「大人の食事」と「子どもの食事」がいつから分かれたのか、食卓でのマナーの変遷、学校給食の歴史、料理を学ぶ意義に至るまで、全10章にわたり、幅広いテーマが取り上げられている。

具体的なエピソードも豊富だ。給食についての章では、2003年のBBCグッド・フード誌による調査で明らかになった「最も嫌われた給食メニュー」の呼び名が紹介される。タピオカは「カエルの卵」、グリーンピースは「弾丸」、スパゲッティは「ミミズ」と呼ばれていた。こうした子どもたちの声により、給食が単なる栄養補給の場ではなく、記憶に残る体験でもあったことが分かる。「食べ物がどのように出来ているか」を扱う章では、「ポテトチップスがジャガイモから作られることを知らない子ども」や「卵がどこから来るか分からない子ども」といった実例を挙げ、都市化が進んだ現代における食育の課題が提示される。最終章では、2022〜2023年に英国の子どもの17%が十分に食べられない状態にあったというデータが紹介される。慈善活動による対応には限界があり、国による取り組みが必要だという著者の主張は、英国に限らない。

過去の事例を現在と結びつけながら、子どもと食をめぐる未来への見通しを示す本書は、食育や保育、社会福祉の分野に関わる人はもちろん、子育て中の親や食の歴史に興味がある人など、幅広い読者に新たな視点をもたらす一冊である。