ブックレビュー ブックレビュー

原題 The Shortest History of Europe
著者 John Hirst
分野 歴史
出版社 Black Inc
出版日 2010/10/25
ISBN 978-1863955034
本文 従来の歴史書とはひと味もふた味も違い、明快、簡潔かつユーモラスにヨーロッパの歴史を紐解いている。なんといっても短いのがすばらしい。160ページ(実質150ページ)で、あの長いヨーロッパの歴史を語ってしまっているのだ。

313年にローマ皇帝コンスタンティヌスがキリスト教を公認したことに端を発し、476年のローマ帝国滅亡から1400年ごろまでのヨーロッパは、3つの要素が混ざり合った状態だった。つまり、古代ギリシャ人とローマ人の教え(世界はシンプルで、論理的で数学的)、キリスト教(世界は悪で、キリストだけがそれを救える)、ドイツの戦士たち(戦い大好き)だ。この3つのユニークな関係が、ヨーロッパ独特の性質を形作り、1400年以降の世界に先駆けた近代化へとつながっている。

学校で習った歴史はなんだったのか。この3つの要素の絡みがわかるだけでも、ヨーロッパの歴史に関して頭にかかっていた霧が晴れたような感覚になるだろう。