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原題 Beyond Happiness: Deepening the Dialogue between Buddhism, Psychotherapy and the Mind Sciences
著者 Gay Watson
分野 仏教/心理学/医学
出版社 Karnac Books
出版日 2008/12/19
ISBN 978-1855754041
本文 長い間、心理療法(サイコセラピー)と精神分析学ははっきりとした科学的な裏付けがなく、ひとつの学問として見られることがあまりなかった。それが近年、脳の神経科学といった「心の科学」の発達によって見直されるようになってきた。西洋の心理学が見直されるのと同時に、東洋で発展し、著者が「最初の心理学」と説明する仏教の瞑想法にもスポットが当たりはじめた。本書では最新の科学の力によって心理療法のしくみを裏付け、また仏教との共通点を明らかにし、西洋と東洋の叡智をひとつに結びつける。

心理療法も仏教の瞑想も、突きつめると人の幸せを追求するものだ。科学が、その幸せの向こう側(beyond happiness)のしくみを説明してくれる。

著者は冒頭、「私は科学に関しては専門家ではない」というが、心理療法と仏教に関する深い知識があり、それが彼女の論理を支えている。一見すると離れているように見える心理学と仏教の関係が科学のメスによってどう変化するのか、一読の価値がある本だ。