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原題 How to Leave Twitter: My Time as Queen of the Universe and Why This Must Stop
著者 Grace Dent
分野 インターネット/ツイッター
出版社 Faber and Faber
出版日 2011/7/21
ISBN 978-0571277742
本文 『How to Leave Twitter(ツイッターにさよならする方法)』という題名とは裏腹に、本書からはツイッターの楽しさが溢れてやまない。2008年にツイッターをはじめた著者は、今や何万人ものフォロワーを持つツイッターランドの女王である。毎日目の覚めている間は5分ごとにiPhoneでツイッターをチェック、夜中に起きてはツイッターをチェック、ツイッターをしながら年を越し、禁ツイッター歴117回というツイッター中毒の著者が、裏も表も知り尽くしたツイッター世界の出来事を語る。

実際に誰がつぶやいているのか、ツイートは誰に読まれているのか、140字の背後にあるものは何か。恥知らずな立身出世主義者や、ツイッターを通してできる友達、どこまでもしつこい人、厚かましい自慢屋、行き過ぎたセレブストーキング、派閥や、怒りのツイッター集団、挑発的なつぶやきをする人たち。

コラムニストならではの鋭い観察力を持ち、ジョークをこよなく愛する彼女の辛辣でユーモアのある語りは小気味よい。それぞれのトピックについて文章というよりはリストといったほうがいいような短さでまとめてあり、いつでも気軽に読み進めることができる。こんなツイートは勘弁して、だからあなたをフォローしないのよ、とばっさばっさと切りまくるところでは笑いが止まらない。また、自分のことを振り返ってひやりとさせられる部分もある。

ツイッターにはまるあまり実生活に支障が出ている仲間たちに「悪いこといわないからそろそろやめたほうがいいわよ」という著者の言葉は、つまり「こんな楽しいことやめるなんて無理ね」というメッセージだ。著者はいまも@gracedentでつぶやき中。