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原題 Once Upon a Northern Night
著者 Jean E. Pendziwol(文)、Isabelle Arsenault(絵)
分野 絵本
出版社 Groundwood Books
出版日 2013/1/30
ISBN 978-1554981380
本文 少年が眠っているあいだの一晩の出来事が描かれた作品。冒頭の一節「きみが眠っているあいだに、私は美しい絵を描いた」から、終始そこはかとない愛情が感じられる。

雪がひとひら舞い降りてやがて地面が白くなり、木も山も白くおおわれる。そして、動物たちが活動を始め、そこに色を添えていく。少年が目覚めるころには、窓の外にはまばゆい雪景色が広がって、少年をやさしく出迎える。

物語の語り手である「私」が何者であるかは最後まで明かされないが、雪を降らせ、美しい雪景色を作り出した「私」は、おそらく「神」だろう。そして、「私」という絶対的に信頼できるものからの深い愛情に包まれている少年の日常は、圧倒的な安心感と幸せに満ちあふれている。

闇夜の黒をベースにした絵に雪の白が混ざり、さらにオーロラや動物たちなどのほかの色が少しずつ加わっていくさまは、ため息が出るほど美しい。文章にも絵に負けぬ美しさがあり、何度も読み返したくなる。絵のトーンからも、内容からも、特にベッドタイムストーリーに最適な一冊。