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原題 Alcohol: A History
著者 Rod Phillips
分野 歴史/社会/文化
出版社 University of North Carolina Press
本文 カナダでトップクラスのソムリエであり、社会形態の歴史学者でもある著者が、自身の「ワイン」と「歴史」に関する深遠なる知識を見事に融合させた。社会、経済、政治、宗教といったさまざまな要因がその時代のアルコール需給にいかに大きな影響を及ぼしてきたかが、歴史学者ならではの精緻さと有名コラムニストならではの軽妙な筆致で描かれている。

例えば、“symposium”の語源となったギリシャ語“symposion”は「一緒に飲む」という意味であり、上流階級の古代ギリシャ人男性が集い、ワインを飲みながらディスカッションをしたり遊びに興じたりする会合を指していたという。そのような「シンポジウム」ではどのようなワインが提供され、どのような雰囲気で場が進行し、何杯飲むのが適量とされていたかなど、非常に詳細な情報が生き生きと臨場感を伴って描かれており、大変面白い。

歴史物語としてぐいぐいと引き込まれながら、一般的な歴史書では決して得られないアルコールトリビアを存分に学ぶことのできる、知的好奇心のそそられる一冊。