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原題 Hospice Voices: Lessons for Living at the End of Life
著者 Eric Lindner
分野 看護学/心理学/自伝
出版社 Rowman & Littlefield
出版日 2013/10/6
ISBN 978-1442220591
本文 華やかなキャリアを持ち、多くの大物たちを相手にしてきた著者が、ふとしたきっかけから始めたホスピスでの介護ボランティアの経験をまとめた。入居者の平均寿命が3カ月といわれるホスピスでさまざまなバックグラウンドを持つ患者たちと出会い、話を聞きながら多くのことを学んでいく様子を、いきいきと綴っている。

本書は、7人の患者との交流を軸に書かれている。著者が最初に担当した患者は、6カ国語をあやつり、かつて平和部隊の隊員として活躍した経験もあるが、現在は癌とアルツハイマー病を抱えるBob Zimmerman。そのほか、アルツハイマー病のEllen Hensleyとその夫と娘(いずれも病気に苦しんでいる)など、その都度対応のしかたが異なる患者たちとの交流の中で思い悩み、励まされ、前に進んでいく著者。各章の冒頭には患者の顔写真が掲載されているため、現実に生きている、または生きていたひとりの人間のリアルな物語を感じながら読み進めることができる。

著者は、いわゆる「有名人」の言葉はどれも似たり寄ったりな部分があるが、ホスピスで出会った「普通の人」の言葉は、他の人の人生を変えるものだという。死への恐怖を抱えた患者たちは決して同情してほしいのではなく、ただただ話を聞いてくれる人が欲しいと思っている。人生の最期を待つ患者と向かい合う中で、すべきこと、すべきでないことを学びながら、ケアを与えるだけでなく自分自身の変化も感じていく著者の姿は心に響く。

ホスピスでのつらい闘病生活の記録ではなく、人生の最期を楽しく迎えようとしている人々の姿を描いた本書から、彼らのメッセージを受け取ってほしい。