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原題 Cats
著者 Delia Pemberton
分野 美術/文学/アンソロジー
出版社 British Museum Press
出版日 2015/3/23(第2版)
ISBN 978-0714151113
本文 猫は、何千年も昔に人間という優しい友人に気づき、自ら飼われることを選んだ動物だ。それ以来、猫と人間は切っても切れない関係となっている。

ネズミの駆除に役立つ動物であった猫だが、やがてペットになり、古代エジプトでは神格化されるまでに至った。同じネコ科の動物であるライオンやトラ、ジャガー、ヒョウは、尊ばれ、恐れられ、権力の象徴となった。一方で、狡猾で残酷、強欲な二枚舌との悪評もあり、中世ヨーロッパでは猫は魔女や悪魔が姿を変えたものと考えられた。

大英博物館の講師でもある著者は、猫の様々な特徴を味わえるよう、古今東西の芸術家たちが残した猫に関する絵や詩、逸話、工芸品などから作品を厳選した。掲載作品は古代エジプトの猫のミイラから、ヘロドトスの『歴史』、レオナルド・ダ・ビンチの絵、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』、歌川広重の浮世絵、小林一茶の俳句まで多岐にわたり、猫と人間の長い歴史を改めて感じさせてくれる。

一流の芸術家が表現する猫は、写真や動画とはまた一味違った魅力を持ち、ページをめくるたびに新たな発見がある。