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原題 Afrika - Gesichte eines bunten Kontinents: Neu erzählt mit afrikanischen Stimmen
著者 Lutz van Dijk
分野 歴史/社会
出版社 Peter Hammer Verlag
出版日 2015/7/13
ISBN 978-3779505273
本文 アフリカの国々が独立してから約50年がたつが、アフリカを扱った歴史書の80%以上はヨーロッパ人の視点に立って書かれているため、世界中の子供たちがもつ「アフリカ」についてイメージは偏っている。本当のアフリカは、疫病と飢餓がはびこり、民族間の抗争が頻発する未開の「暗黒大陸」などではなく、54の国々に1000以上の言語と多彩な文化を抱え、人口の半分が18歳以下という、これからの発展の可能性を秘めた「若い」大陸なのだ。

本書は、南アフリカ在住の著者が、ヨーロッパ的な視点を排除し、アフリカに対する偏見を除去すべく、現地の資料・文献を基本として、10代の少年少女にも理解しやすい言葉でアフリカ史をまとめたものである。

大陸移動から現代までが順を追って書かれ、歴史の悲惨な部分、とりわけ植民地時代の奴隷貿易の残虐性については詳しく取り上げられているが、著者が描き出すのはアフリカの過去の厄災だけではない。誇り高く可能性に満ちたこれからのアフリカにも光を当て、過去や現在の事柄に対するアフリカの人々の声を拾い、すべてを過去のせいにせず、他国からの開発援助を受ける立場から脱却し、ヨーロッパ人に指図される代わりに自分たちの考えを発信しようとする人々の前向きな姿勢も描き出している。

読者対象は12歳以上となっているが、子供だけでなく、アフリカの苦難の歴史に興味を持つすべての人々に読んでもらいたい良書。