ブックレビュー ブックレビュー

原題 An Eye for an Eye: A Global History of Crime and Punishment
著者 Mitchel P. Roth
分野 犯罪学/法学/歴史
出版社 Reaktion Books
出版日 2014/11/17
ISBN 978-1780233598
本文 聖書、コーラン、トーラーは、罪と道徳的妥当性の概念によって、犯罪を正当化する一因ともなる重要な分岐点になった。そして、道徳律の侵害という意味での「罪」と「犯罪」が区別され、犯罪は一般的に成文法を侵すことと理解されるようになった。「犯罪」に裁きを下す責任が、神学の権威から国家へ、聖職者から役人の手へ渡り、「罪」は新しい名前と新しい監視者の登場で消えてしまったとの見方もあった。

しかし、世界的な犯罪と刑罰の歴史は、人間の文化の急速な進歩に比べ、先史時代から大きく変化してはいない。犯罪の手段は、デジタル時代に入ってまったく異なるものになったが、犯罪の目的や動機、刑事司法システムは、私たちの先祖の時代とそれほどかけ離れてはいないのである。

「目には目を」から、死刑を巡る議論まで、犯罪行為へ当然の報いを与えることに関して、人間は長く議論してきた。犯罪と刑罰が私たちの文化の重要な一部分であることに変わりはないが、何を犯罪と呼び、どのように罰せられるべきかについての考えは、社会によって千差万別だ。本書は、歴史的観点から犯罪と刑罰を世界的に調査し、各国の犯罪とその帰結に興味深い洞察をもたらす。