ブックレビュー ブックレビュー

原題 After You Hear It's Cancer: A Guide to Navigating the Difficult Journey Ahead
著者 John Leifer
分野 医学
出版社 Rowman & Littlefield
出版日 2015/7/16
ISBN 978-1442246256
本文 「がん」と宣告されると、多くの人の頭には「死」という文字が浮かび、これから襲いかかってくる出来事への恐怖と不安に慄く。しかし、近年がんの5年以上生存率は約68%まで上昇しており、正しい知識に基づいて適切な判断と治療を行えば、死に直結しない場合も多いという。

本書は、ヘルスケアの専門家である著者が、放射線腫瘍医であり自らもがんを患った妻と、その他10人のがん患者及びその介助者の実話を元に、「治療前」「治療中」「治療後」の各フェーズの具体的な様子と心得ておくべき知見を、時系列にまとめたものだ。

「治療前」のフェーズでは、治療計画を立てるところから始まり、主体的に病気について学び、選択肢を決定していくことの大切さを説く。「治療中」のフェーズでは、感情のコントロールをサポートする外部リソースや、副作用を最小限に抑えるための方法、痛みの程度を利用した状態把握の方法などについて、そして「治療後」のフェーズでは、受けた治療の効果を把握することと、その効果如何によって再考しなければならないその後の対処について記す。

がんと診断された患者やその介助者は、様々な局面で都度難しい決定を迫られる。本書は、患者本人と介助者が辿るプロセスに沿って、具体的なアドバイスがまとめられているため、そうした人々にとって大きな助けとなるだろう。