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原題 Living by Numbers: In Defence of Quantity
著者 Steven Connor
分野 数学/社会
出版社 Reaktion Books
出版日 2016/9/1
ISBN 978-1780236469
本文 自然界や日常生活のなかでも、私たちは常に数学を「行っている」。鳥の群れや木の年輪、月の周期、あるいは体温や給料の変化など、すべてに数字が深く関わっている。しかし、自然界に数字が存在しても、私たちが数えなければ本当の意味での数字にはならない。本書は、数と死の密接な関係、宗教に使用されている数に目を向け、人が大衆や大群、多数をどのように理解しているのかを解説したり、詩やジョーク、笑い、喜びに見られる計算にはどのような働きがあるのかについて考察したりと、いろいろなところに潜む数学を浮かび上がらせる。そして、数や量を可視化するために図式や図表でさまざまな方法がとられていることを明らかにし、チャンスや不確実性に適応するために人が数字をどのように利用しているかを語る。

数字がなければ、現在社会に成長や発明や価値は存在しない。人の生活に数字は欠かせない一方、数字がもつ有害な力からの悪影響は避けなければならない。私たちの社会を数字の世界から描き出す本書を読めば、数の文化を通じ、量や大きさ、規模についての理解を広げることができる。