トランネット会員とは

トランネット会員とは

トランネット会員とは

参加費用と支払方法/更新・退会手続き

オーディション/Job Shop
入賞者の声

会員規約

新規会員登録

English Websaite

JAPANESE WRITERS'HOUSE

JAPANESE WRITERS'HOUSE

出版翻訳の舞台裏Column

英辞郎 on the WEB Pro

オーディション/Job Shop入賞者の声

小川浩一(第555回オーディション作品入賞者)

第555回 オーディション 作品入賞

訳書名 『猫のための部屋づくり』
訳書出版社 株式会社エクスナレッジ


入賞者の声

 今年米寿を迎えた実家の父はジグソーパズルが好きで、毎日飽きずに少しずつ進めている。先日、帰省したときに、そのパズル作りを手伝った。手伝いながら、翻訳作業に似ているなと思った。一日では終わらないにしても、投げ出してしまわないかぎり、いつかは完成する。進め方にルールはなく、好きなようにやればよい。端からやり始めるなど、いくつか定石はあるものの、基本的には自由である。それから、ひとりで好きな時間にできる。
 もちろん違いもあって、翻訳には締め切りがある。このことは常識としては知っていたが、さらに分納などという制度があることは知らなかった。
 子どものころ、いつも夏休みがほぼ終わりかけたころになって、ようやく宿題にとりかかるタイプだった私にとっては、この「分納」(実際に出版社へ納品することに加えて、コーディネーターやチェッカーの方に小分けにして見てもらうことも含む)というのが、とんでもないプレッシャーなのだ。
 五十を過ぎた中年男の私は、老眼のせいもあって、最近はほとんど本を読まなくなってしまったが、そのずっと以前から、本を前から順に読むのが苦手だった。小説だろうが、専門書だろうが、適当にページを開いてそのページから読み始め、飽きたらまた別のページを適当に開いてしばらく読む。それにも飽きたら、別の本でも同じことをする。そのうち、すべて読み終わる。いつもそんな読み方をしていた。
 先に、ジグソーパズルは翻訳作業に似ていると書いたが、本当は、正確には、「私の」翻訳作業に似ているなと思ったのだ。なにも一方向から順番に完成していく必要はなく(そのように進める人も多いと思うが)、たまたま手に取ったピースをきっかけにその周辺をある程度組み立て、飽きたらまた別のピースを手に取って同じことを繰り返す。そのうち、いつかは完成するだろう。そんな自由さが似ているなと思ったのだ。締め切りがあることを除けば。

※他にもオーディション、Job Shopの入賞経験をおもちです。

森由美子(第542回オーディション作品入賞者)

第542回 オーディション 作品入賞

訳書名 『DREAM WORK PLACE(ドリーム・ワークプレイス)——だれもが「最高の自分」になれる組織をつくる』
訳書出版社 英治出版株式会社


入賞者の声

 普段は実務翻訳を仕事にしているが、多くの人に読んでもらえる仕事がしてみたいと、友人から教えてもらったオーディションへの応募を始めた。
 訳も分からずやみくもに応募していた最初の数回を勝手に除外させていただくと、ここのところは3回に1度ほどのペースで最終の数人には残っていた。だが、どうしても最後の関門が突破できない。あと少しの努力が足りないのか、私の能力ではここが限界なのかと悩み始めたころ、この課題が出た。これまでで一番、翻訳したいと思った。
 願いが通じたのか、その気持ちが粘りにつながったのか、運よく選んでいただくことができた。現実感がなく、ふわふわした気持ちになったことを覚えている。
 実際に始まってみると、一番苦労したのはペース配分だった。実務翻訳をしているのでスピードには自信がある。ところが、「普段よりは少し余裕があるけれど、潤沢というほどではない」時間を与えられ、その中でペースをつかむことが思った以上に難しかった。何度もスケジュール表を書き直し、どんどん厳しくなっていく残り時間に弱音を吐いたこともあった。
 そんな中で気付いたことがある。楽な条件下で成果をだすのは当たり前。制約がある中でのアウトプットこそが、現在の実力なのだと。
 自分が訳したものが初めて書籍になったときは、単純に嬉しいだけでなく、不思議な気持ちにもなった。私が提出したのはただのワードのファイルなのに、こんなに立派な装丁がほどこされている。奥付を見ると、びっくりするほど多くの方々がこの本に関わっていたことが分かる。その中のひとりとして、著者の下に名前を連ねていただくのは、誇らしくも、こそばゆくもあった。
 この仕事を通じて本当に多くのことを学ばせて頂いた。自分の限界も知ったし、逆に自信も得た。もし次のチャンスがあったら、きっともっとうまくできるという確信を持てたのが、一番の成果かもしれない。

鴨志田恵(第545回オーディション作品入賞者)

第545回 オーディション 作品入賞

訳書名 『天才こども建築家、世界を救う』
訳書出版社 株式会社エクスナレッジ


入賞者の声

 『Iggy Peck, Architect』が出題されたとき、夫の駐在でアメリカに住んでいた私は、「絶対やらなければ!」との思いで、すぐに図書館に原書を借りに行きました。実はこの本は、渡米して間もない頃、英語で苦労している息子のために借りたことがあり、大好きだった作品です。リズムが良く、何といっても絵が楽しい! でもベストセラーだし、日本でも早々に訳されているだろうな、と思っていたのです。だから、めったに出ない絵本のオーディションで『イギー』がポンと現れたのは、嬉しい驚きでした。
 私が翻訳者を目指そうと思いたったのは、その4年ほど前のことです。度々の海外生活を経て、単発の翻訳アルバイトはしてきましたが、出版翻訳に目を向けたことはありませんでした。その頃、小学生だった息子に『宇宙への秘密の鍵』という本を読み聞かせていました。自然な日本語訳で描かれる物語の世界に夢中になる子供の姿を見ていて、翻訳とは、言語の壁を越えて子供たちの心に夢を届ける素敵な仕事だなあ、と感じるようになったのがきっかけです。
 手始めにネットで見つけたトランネットのオーディションに応募してみて、先は長いぞ…と実感。通信や通学で講座を受講し、勉強会やオーディションにも参加し、数年かけて少しずつ感覚を養いました。望みは捨てず、ダメでも落胆せず、興味のあるオーディションが出たら応募する。そんな風に淡々と続けた末の入賞が、お気に入りの作品だったのは、思いがけないご褒美でした。
 翻訳は、考えれば考えるほど「ぴったりの訳」にはならず、辛い作業です。でもそれが楽しいと思えるのは、絵を描く作業に似ているから。まずざっくりした訳で下絵を描き、ゆがみを直していく。色を選び、細部を決め、いじり過ぎないこと。途中の段階で「お粗末だな…」と諦めないことも大事、なんて考えながら訳しているのは、私だけかもしれませんが、これからもこの苦しくも
楽しい作業に励んでいきたいと思います。
 ※第122回Job Shop英訳(英米の出版社への企画提案用部分訳)でも入賞されています。また、英訳の出版実績もあります。※

安部恵子(第533回オーディション作品入賞者)

第533回 オーディション 作品入賞

訳書名 『スマホをやめたら生まれ変わった』
訳書出版社 株式会社幻冬舎


入賞者の声

 科学が好きで大学の理工系の学部に進み、卒業後はメーカーの技術職につきました。科学読み物と英語が好きなことから、いわゆるポピュラーサイエンスの分野の翻訳に興味を持ち、子育てや退職などを経て、翻訳の勉強を本格的に始めました。良き師と先輩翻訳者の方々に恵まれ、下訳やリーディングなどいただいた仕事に一つひとつ取り組んできて、ようやく少しずつ訳書を出させていただけるようになりました。私は研究者が自分の研究について一般の人々に向けて情熱的に語るタイプの本が大好きなので、そうした原書を発掘して、これはと思うもののレジュメを作って出版社に持ち込んでいます。もっとも、版権は売約済みの場合がほとんどなので、苦心惨憺で作ったものが無駄みたいですが、不思議なもので、意外にもレジュメを発端にさまざまな形でのちの仕事につながってきました。
 とはいえ、本書はそんな私の路線とは少し違うところにあります。課題を一読したとき、インターネットに対する著者の違和感に共感を覚えて、応募したところ運よく翻訳者に選んでいただけました。訳し進めるうちに、小さいお子さんたちを育てながらもライターとして第一線でふんばっていこうとする著者が、迷い悩みながらもSNSに振り回されない生活を目指す姿に、立場も年齢もまったく違う私ですが凝り固まっていた頭を揺さぶられる思いを……などといっても、じっくり味わっていられるわけもなく。現実は、四苦八苦で締め切りに合わせて訳稿を納品したものの、ゲラには「赤」がびっしりで、ありがたいやら情けないやら。数々のご指摘に向き合って調べ物をしなおし、ロジックの甘いところをきっちりと詰めていき、表現の未熟さと固さをなんとかしてほぐして修正を重ねる過程は、苦しくも、何にも代えがたい勉強になりました。出版社の編集者と校正者の方々には心から感謝しています。完成した美しい表紙の本を手に取った瞬間は感無量でした。

矢島麻里子(第543回オーディション作品入賞者)

第543回 オーディション 作品入賞

訳書名 『10年後、後悔しないための自分の道の選び方』      
訳書出版社 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン


入賞者の声

『Starting Your Beautiful Life』の課題文を読み終え、中央線・四ツ谷駅のホームに降り立ったときの景色をいまでも鮮明に覚えている。それは、心から訳したいと思える本に出会えた瞬間だった。課題提出から2週間が経ち、最終選考の5人に残ったという知らせを受けたときも不思議な確信があった。待望の採用通知はその数日後に届いた。
 原文を読み進めるのは楽しくてしかたがなかった。著者の言葉の一つ一つがするすると胸に沁み込んできた。最終章に差し掛かったときには、もうすぐ読み終わってしまうのが淋しかったほどだ。この本は書き下ろしで、原著が出版されていない。原文を読むことができるのは、関係者以外は私だけ。なんと幸福なことだろう。これほどの幸福にあずかった以上、著者の示唆に富む思いやりに満ちたメッセージを何一つ損なうことなく再現して読者に届けなければならない。そんな思いで2カ月間全エネルギーをこの本に注いだ。
「いったん決断したら、後ろを振り返ってはなりません」「あなたが決めたのですから、今やっていることを楽しんでください」。社内翻訳者からフリーランスに転身して1年、自分の決断が本当に正しかったのか不安だった私に、著者の力強い言葉は「前を向く」ことを教えてくれた。この本を通して悩みを抱える読者を勇気づけることができたらと思い翻訳を始めたが、いちばん勇気づけられたのは、訳している自分自身だった。
 そして訳文提出から8カ月後、晴れて『10年後、後悔しないための自分の道の選び方』が刊行された。
 刊行日決定の連絡を受け取ったとき、完成した見本を手にしたとき、書店に並べられた本書を見つけたとき、出版記念パーティーで著者のトビン先生に満面の笑顔で労ってもらえたとき、読者の方々の心のこもった感想を目にしたとき——その一つ一つが私にとっては「至高体験(peak experience)」であり、これから先もずっと忘れることはないだろう。
 この素晴らしい出会いに心から感謝したい。

新規会員登録はこちら