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原題 The Secret History of Dreaming
著者 Robert Moss
ページ数 352ページ
分野 夢/歴史/スピリチュアル
出版社 New World Library
出版日 2010/8/10
ISBN 978-1577319016
本文 眠れば誰でも夢を見る。本書は人の見る夢が歴史的な事実にどのように影響してきたのかをひも解くことにより、夢と私たちの意識との深いつながりが、これからの未来に対していかに重要なのかを示す興味深い洞察に満ちた一冊である。

第1部では、夢が歴史的に果たしてきた役割について探求する。夢の解釈の歴史、主な宗教における夢の役割、夢が病気の診断や癒しに用いられてきた歴史、多くの作家が夢を文学的創造に利用してきた歴史などと共に、夢は私たちの魂とその癒しにつながる道であることが語られる。

第2部では、スペインと無敵艦隊の行く末について415もの夢のレポートを残したマドリッドの美女、14歳のときに自らの将来の姿を夢に見たウィンストン・チャーチル、夢とシンクロニシティの議論の場となったパウリ=ユング書簡など、ベストセラー作家としての物語を紡ぐ能力、歴史研究者としての識見、そしてアクティブ・ドリーマーとしての個人的な体験を見事に融合させながら著者が語る歴史上の人物たちの驚くべき実話に、読者は引き込まれずにはいられない。

「夢は人類の存続と進化に欠かせない秘密の原動力」だと著者は言う。
夢見は魂の贈り物であり、自らの深いところにある真我へとつながる道。深く豊かな夢の歴史を理解すること、自分自身の夢の図書館に行き、そこに何があるか知ること、そしてそれを人生に生かすことが、この不確かな現代を生き抜く術であり、その先に人類の新たな未来が広がっている。