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原題 Wie Kinder Heute Wachsen (How Children Today Grow)
著者 Herbert Renz-Polster & Gerald Huther
ページ数 256
分野 教育/哲学/子育て
出版社 Campus
出版日 2022/08/17
ISBN 978-3407867384
本文 子どもたちはどのようにして大きくなり、強くなるのか?実り多い人生を送るために、自身の能力をどう伸ばすのか?「自然を語らずして、子どもの成長を論じることはできない」と考える著者は、子どもの良質で健全な成長に不可欠な四つの"資源(自由、直接性、強さ、結びつき)"を紹介する。それらが見つかる場所こそ、自然の中なのである。子どもが自由を味わい、困難を乗り越え、互いに同じ高さの目線に立って接し、自分自身を発見する場所。それが自然なのだ。
しかし、野原や森、公園や裏庭といった広大な屋外だけが"資源"を得られる自然なのだろうか?それとも、屋内でも同様の経験が可能だろうか?例えば、現代では画面の向こう側にも世界は広がっているのだ。室内と屋外、現実世界と仮想世界。その新たなバランスを、著者がわかりやすく具体的に論じる。
また、この素晴らしい自然を未来の子どもに残し続けなければならない。著者は我々の現代のライフスタイルに環境保護の観点から警鐘を鳴らす。
 本文を一方の著者(Herbert Renz-Polster)が執筆し、各章の終わりにもう一人(Gerald Hüther)が、その章の内容にさらなる考察を与えるというスタイルをとる。著者の経験談やエピソードを豊富に紹介する軽いハウツー本ではなく、各テーマについて学術的な理論や事実根拠をもとにしっかりと論じられる一冊。とはいえ、自然を満喫する子どもの写真が随所に挿入されており、それらを眺めるだけでも爽やかな気分になる。自然の中にいる時の感覚を、本書を読む合間にもしっかりと思い出させてくれる素晴らしい工夫である。